「彼女がその名を知らない鳥たち」
「彼女がその名を知らない鳥たち」
パート先から帰るために電車を待つ。
時間を持て余していたので寄った本屋でふとタイトルが目につき、購入しました。
……読後感のなんとも言えない感情たるや。
この先ネタバレありです。
まず、読み終わったのが部屋の中でして、「はぁ〜…」という気持ちになりました。そしてつい、隣で寝ている彼氏をぎゃっと抱きしめてしまいました。
そして、込み上げて来るのは陣治への愛しさ、虚しさ、愛しさ。
まほかる先生は、陣治を完璧に汚らしく描いており、読む人も最初は、十和子よりも陣治に対して嫌悪感を抱く人が多いのではと思います。
でも私は、最初から陣治に対して嫌悪感は抱きませんでした。
十和子に対しても、です。
十和子の気持ちがわかるからです。
自分と重なる点があるから。
私も昔の男が忘れられずに、もうすぐ結婚します。
十和子と違う点は、その昔の男は黒澤のように最低な男ではない事、私は今の彼氏をちゃんと愛している事です。
でも、今の彼氏は私がヒステリーを起こして暴言を吐いても、陣治のようにジッと耐えます。
読んでいて少し、彼氏のことが頭に思い浮かぶ、そんな小説でした。
小説の内容に触れますと、まぁ、今流行りの不倫ですね。
十和子は毎日陣治が稼いだお金でダラダラと過ごしていますが、そんな中、水島という優男と不倫関係になります。
そんな中、昔の男ーー黒澤が失踪します。陣治の十和子に対する執着も異常なまでに増し、十和子は陣治が黒澤失踪の犯人なのでは?と疑います。
ラストシーンは、とても胸が痛くなります。
まってくれ陣治!という感じ。
こんな風に愛されてみたいけれど、こんな経験はしたくない、そんな気持ちになりました。
そして、陣治が死んでしまった後の十和子が心配になってしまいます。
あのマンションはどうするんだろう。
これから一人で生きていくのか、また水島のようなツルッとした顔の優男と恋をするのかな……。
そして陣治を産んで、きちんと育てられるのかな。
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